美しい紫色の皮が目を惹く木通(あけび)は、東北地方を中心に食べられて来ましたが、生産量の減少に伴い高級食品となってきています。そんなあけびはスタミナをつける果実として人気。ここではあけびの栄養素や食べ方、保存方法などについてご紹介します。
あけびの特徴
果実は長い卵のような形をしており、厚い果皮と、中に種と共に白いゼリー状の果肉が入っていて、熟するとザクロの様に割れて中の果肉が露出します。
アケビの木は雑木林などに自生している落葉つる性低木です。そのため、暑さにも寒さにも強いとされています。木全体を指す場合、「アケビカズラ」と呼ぶこともあります。
近年は高級食材に
アケビは古くから日本で食用されており、果皮も果肉もどちらも食べられるうえに、春の新芽や未熟果も食べられるので、東北の山菜として食卓で愛されてきました。
元々山などに自生していることの多い植物ですが、最近ではアケビ農家が年々減少しているため、アケビは高級食材となっています。
あけびの名前の由来
アケビは漢字で書くと「通草」「木通」となります。「木通」は特に木部を意味しています。「通草」はアケビの蔓が空洞になっていて、空気が通ることからちなんでついたそうです。
アケビの名前の由来は果実が熟して身(口)が開く様子が「あくび」に似ているところからアケビになった説や、熟して実が開く様子を「開け実」としたものが語源となっているという説などいくつかあります。
あけびの産地と旬
全国の収穫量のうちの約9割が山形県。続いて愛媛県、長野県などで生産されています。旬は10月頃です。
学名 | Akebia quinata |
分類 | アケビ科アケビ属 |
原産地 | 日本、中国 |
別名 | 木通、通草(つうそう)アケビカズラ、アクビ |
英語 | chocolate vine |
おいしい時期 | 10月 |
あけびの栄養素
あけびは疲れをとり、スタミナをつける果物として人気があります。また、乾燥した果実は腎炎や脳卒中の予防薬としての効果があるとされています。
つるの部分に含まれるアケビンという成分は利尿・鎮痛効果がある薬として漢方に用いられます。
エネルギー | 82kcal |
水分 | 77.1g |
タンパク質 | 0.5g |
炭水化物 | 22.0g |
カリウム | 95mg |
マグネシウム | 14mg |
リン | 22mg |
鉄 | 0.3mg |
マンガン | 0.15mg |
ビタミンB1 | 0.07mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ビタミンB6 | 0.08mg |
葉酸 | 30μg |
ビタミンC | 65mg |
食物繊維総量 | 1.1g |
※可食部100gあたり
あけびの選び方
表面が綺麗な紫色をしていて、傷や変色している部分がないものを選びます。持ったときに弾力があるものがおいしくいただけます。
果皮が割れたら完熟しているサイン。割れ目から中を覗いて、中のゼリー状の果肉が乾いていないものを選びましょう。
あけびの保存方法
果皮が割れていたら…
果皮が割れている物は日持ちしませんので、すぐに食べましょう。
果皮が割れていないときは…
果皮が割れていないものは乾燥しないように一つずつラップで包むかビニールやポリの袋に入れ冷蔵庫に入れて保管し、3~5日以内に食べてください。
皮は長期保存可能
あけびの皮は乾燥させて長期保管できます。皮を一つずつ紐で吊るして、風通しが良く雨風が当たらない場所に吊るして干します。
乾燥させたアケビを調理する場合は、1週間ほど、毎日水を替えながら、水に浸して戻します。
あけびの食べ方
アケビは、中の果肉・皮の部分・春の若い芽と、無駄なく全てを使うことができます。
中の果肉
果肉は種を包むように白いゼリー状になっていて、ほんのりと甘みがあります。
そのままを生で食べることが多いですが、種を取り除いて、シャーベットやムースに使うこともできます。
皮の部分
少し苦味とアクがあります。塩で揉んだり、茹でてアク抜きをしたりしてから使用しましょう。
油を使った、炒め物や揚げ物。そのほかにも、煮物や蒸し物。さらには天ぷらにしても美味しいです。地方料理では、中に山菜などを詰めて料理することもあるそうです。
春の若い芽
衣をつけて天ぷらにしたり、そのまま和え物にしたりして食べます。