甘くてみずみずしい桃は、夏に食べたくなる果物の一つです。生の桃は旬の時期にしか手に入れることは難しいですが、缶詰やジュース、ゼリーなどの加工品として年中楽しむことができる馴染みのある存在です。しかし、栄養や特徴、種類など意外と知らないことが多いのではないでしょうか？今回はそんな桃をご紹介します。
桃の特徴
桃は中国が原産で、中国では3000年以上前から食用として栽培されていたと言われています。日本に伝わった時期は定かではありませんが、全国の遺跡から桃の種が発見されており、縄文時代末期から弥生時代にはすでに食べられていたと考えられていますが、食用として本格的に栽培が始まったのは江戸時代頃からとされています。
明治時代に入り、中国から水蜜桃が輸入され、それを品種改良した物が現在一般に流通している様々な桃の原型となっています。桃の旬は、品種によって少しずつ異なりますが、6月下旬から8月上旬にかけてです。
桃の種類
白鳳
現在日本で最も生産されている品種です。香りは上品で、優しい甘さが特徴です。果汁が多くみずみずしく、果肉は柔らかくて白色です。
黄桃
果肉が黄色くやや硬めの食感です。缶詰などの加工用として利用されることが多い品種です。最近は黄金桃など品種改良により生食に適した品種も出回っています。
白桃
皮も実も白い桃で、果肉はやわらかくジューシーなのが特徴です。袋をかけて栽培するので、果皮がピンクではなく白いまま成熟します。品種改良を重ねた日本の白桃は甘味が強く、海外でも人気が高い高級品種です。
ネクタリン
桃の一種です。果皮は濃い赤色でうぶ毛がなく、果肉は黄色です。皮ごと食べられるのが特徴です。
桃の栄養素
桃の主成分は水分と果糖です。果糖は、砂糖の1.5倍の甘味を感じる単糖類で、体内で代謝の過程を経ずにエネルギーとなるため、疲労回復に即効性のある栄養源です。
桃に含まれる主な栄養素
- 水分
- 果糖
- カリウム
- ペクチン
- ビタミンC
- ビタミンE
- ナイアシン
- カテキン
- クマリン
桃に期待される健康効果
便秘解消
桃に含まれる食物繊維はペクチンという水溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は、善玉菌のエサとなり腸内環境を整えることで便秘を解消してくれます。
抗菌・殺菌作用
カテキンには抗菌・殺菌作用があり、細菌やウイルスから身体を守り感染症を予防する効果があります。また、ピロリ菌からも守ってくれる為、胃がんの予防にも繋がります。カテキンは桃の皮に含まれています。桃の皮はそのまま食べることも出来ますが、抵抗がある方は、皮ごとジュースにすると摂取しやすいのでオススメです。
冷え性改善
クマリンには抗酸化作用や抗血液凝固作用があり、血行を良くすることでむくみ改善に効果を発揮します。また、ナイアシンにも血行を促すはたらきがあるとされており、これらの栄養素が複合的に作用することで血行不良や冷え性改善の効果が期待できます。
桃の選び方
ふっくらと綺麗な丸型をしており、割れ目を中心に左右対称でバランスの取れている物が良い桃です。また、全体的に紅く色づいているものを選ぶようにしましょう。皮の色は濃い方が甘味があり、色の濃い部分に白い点々が出ているものはより美味しい証拠です。また果皮全体にうぶ毛があり、香りの強いものがおいしい桃です。
桃の保存方法
桃は追熟する果物のため、そのまま室温に置いておくと果肉がやわらかくなります。硬い桃は新聞紙などで包み風通しのよいところで常温保存しましょう。軽く触れて、やわらかみを感じれば食べ頃です。やわらかくなった桃はラップで包むか、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。熟した桃は傷みやすいので、早めに食べ切るようにしましょう。
食べきれない場合は、冷凍保存が可能です。カットしても良いですが、皮付きのまま丸ごと冷凍保存することもできます。解凍する際は自然解凍しますが、完全に解凍してしまうと果汁が溢れ出して美味しさが半減してしまうので、半解凍の状態で食べることをオススメします。
桃の食べ方
桃は枝に付いていた側よりも、お尻（果頂部）の方が糖度は高くなります。そのため、カットするときは、縦にくし形に切り、枝側のほうから食べると最後まで甘味を感じられます。また、桃は冷やしすぎると甘味が落ちるので、食べる2～3時間前に冷蔵庫の野菜室へ入れるのがオススメです。
まとめ
美味しいだけではなく、健康に役立つ栄養素がたっぷり含まれた桃の魅力をお分かり頂けましたか？桃は他の果物に比べるとやや高価ですが、あの甘さとみずみずしさは旬の時期にしか味わえないものです。是非とも夏には旬の桃を楽しんでみて下さいね。