あんずは、かつては薬としても使われた薬効の高い果物。非常にカロテンが豊富です。生食でも良いですが、干したものやあんず酒、ジャムとしていただくのもおすすめです。ここではあんずの栄養素やカロリー、効能、保存方法などについてご紹介します。
あんずの特徴
あんずは、6月の上旬くらいから店頭に並び始め、旬は6月中旬~7月中旬頃です。ヨーロッパ地方で採れるものは比較的甘く、アジア地方で採れるものは酸味が強い傾向にあります。
原産地は、中国北部の山岳地帯といわれています。紀元前2~3世紀ごろには栽培されていたようです。当時は種の中にある「杏仁(きょうにん)」を咳止めに用いるために栽培されていました。
日本に渡ってきたのは平安時代頃といわれています。最初は日本でも、杏仁を収穫するために栽培されていました。日本であんずの果実を食べるようになったのは、明治時代になってからです。
学名 | Prunus armeniaca |
分類 | バラ科サクラ属 |
原産地 | 中国 |
仏名 | abricot |
独名 | aprikose |
別名 | 唐桃(からもも) |
あんずの栄養素と効能
果実でトップクラスのカロテン含有量を誇るあんず。特に干したあんずのカロテン含有量は更に高くなります。強い抗酸化作用を持つので、心筋梗塞や脳梗塞の予防に効果があるとされます。また、リンゴ酸やクエン酸も多く含むため、便秘の解消や食欲増進なども期待できます。
エネルギー | 36kcal |
水分 | 89.8g |
タンパク質 | 1.0g |
脂質 | 0.3g |
炭水化物 | 8.5g |
カリウム | 200mg |
リン | 15mg |
鉄 | 0.3mg |
マンガン | 0.21mg |
ビタミンA β-カロテン当量 | 1500μg |
ビタミンB1 | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.02mg |
ビタミンB6 | 0.05mg |
食物繊維総量 | 1.6g |
※可食部100gあたり
あんずの選び方
皮に張りと艶があり傷がないものを選びましょう。あんず特有の芳香りが強いことや、豊円形・短楕円形であることも、良いあんずを選ぶポイントです。
調理法にあった成熟具合を選ぶ
調理する際には、成熟具合をみて選びましょう。
あんず酒やシロップ漬けにする際には固めなものを、コンポートやジャム、ピューレにする際には柔らかめなもの選びます。色が薄めなものは固く、濃いオレンジ色のものは柔かめです。生食には、完熟して赤みが濃いものを選びましょう。
あんずの保存方法
日持ちが良くないため、なるべく早めに食べるようにしてください。常温に置いておくと熟れが進んでしまい、2~3日しかもちません。
冷蔵保存
冷蔵庫で保存する際には、乾燥しないようにラップに包みます。冷蔵保存では10日くらいもちます。
冷凍保存
冷凍保存すれば、長く利用できます。ただ冷凍保存すると、解凍しても元の食感に戻らないため、生食には向きません。種を除きジップロックに入れて冷凍庫で保存しておくとよいでしょう。
ミキサーなどでペースト状にしたうえで、ジップロックで冷凍しておくと、使いたい分だけ取り出すことができます。
干し杏
干しあんずにして保存する方法もあります。6月~7月は梅雨と重なるため、天日干しは難しいかもしれません。オーブンで100度くらいで1時間くらい熱を入れると、干しあんずにすることができます。干しあんずも、冷凍庫で保存しましょう。
あんずの食べ方
生食用のあんずは、そのまま果物として食べることができます。ケーキなどのトッピングとして使っても良いでしょう。ただ、生食用のあんずは種類が限られていますので、調理して食べる方が一般的です。
シロップ漬けやあんず酒にすると良いでしょう。コンポートやジャムにしてもおいしく食べることができます。ピューレにして、ムースやソースとして用いることもできます。
あんず酒
あんず酒は、冷え性や虚弱体質改善に効果があるとされています。飲み過ぎには注意しましょう。
杏林=名医の意味も
杏は薬効が高く、薬として用いられてきました。昔、中国の名医「董奉(とうほう)」は貧しい患者から治療費をとる代わりに杏の実を植えさせ、やがてそこには杏の林ができたという故事があります。これに由来し「杏林」は名医を指す言葉として知られています。