クルミはタンパク質や必須脂肪酸など現代の食生活では不足しがちな栄養素が豊富な食材。コクのある風味は飽きがこず、ついつい手が伸びてしまいますが、脂質も多く含まれているので、食べすぎには注意が必要です。ここではクルミの栄養素と効能、理想的な摂取量などについてご紹介します。
クルミの特徴
クルミの原産地はヨーロッパ南西部からアジア西部とされ、北半球の温帯地域に広く分布しています。クルミの樹の高さは8mから20mにもなります。温かい気候でも実は生りますが、寒冷地の方が適しているため、日本では長野県を中心に栽培されています。
国内では「オニグルミ」や「ヒメグルミ」が自生していて縄文時代の遺跡から発掘されるなど古くから食べられていました。しかし、現在食べられているクルミは豊臣秀吉の時代に中国か朝鮮半島から持ち込まれたペルシャ系のクルミになります。
学名 | Juglans spp. |
分類 | クルミ科クルミ属 |
原産地 | イラン、中国、日本、北米 |
仏名 | noix |
英語 | walnat |
おいしい時期 | 10〜12月 |
クルミの栄養素
クルミは100g中68.8gが脂質で、脂質のうちの約60%がリノール酸で占められています。リノール酸は必須脂肪酸の一種で、コレステロールが血管に沈着するのを防ぎ、動脈硬化の予防が期待されています。
その他にもクルミには食物繊維、ミネラル、ビタミンなどが豊富に含まれている栄養価が豊富な食品です。しかし、脂質の高いクルミは100gあたり約650kcalあるため食べすぎには要注意です。
エネルギー | 674kcal |
水分 | 3.1g |
タンパク質 | 14.6g |
脂質 | 68.8g |
炭水化物 | 11.7g |
カリウム | 540mg |
カルシウム | 85mg |
マグネシウム | 150mg |
リン | 280mg |
鉄 | 2.6mg |
亜鉛 | 2.6mg |
銅 | 1.21mg |
マンガン | 3.44mg |
ビタミンB1 | 0.26mg |
ビタミンB2 | 0.15mg |
食物繊維総量 | 7.5g |
※可食部100gあたり
クルミの食べ方
一般的に売られているクルミはローストされていますが、クルミは生のまま食べられるため、殻付きのクルミはくるみ割り器で殻を割り中の仁の部分を食べます。生のクルミはローストしたものに比べてやや柔らかく甘味を感じることができます。
生のクルミには酵素抑制物質というものが含まれており、酵素の働きを邪魔してしまうため、タンパク質などの消化の妨げになるとされています。しかし、水に数時間漬けることで、この酵素抑制物質を中和できると言われています。
クルミを食べるタイミング
いつ食べても問題ありませんが、消化に時間がかかるため、夕食以降は避けたほうが良いでしょう。少量で空腹が満たされるので、仕事中のおやつや小腹が空いた際の間食として利用するのもおすすめです。
食べすぎには注意が必要!
1日に7粒(28g)ほどが理想的な摂取量だと言われています。その栄養価の高さから、美容・健康向けの文脈で注目されることが多い食材ですが、脂質が多くカロリーが高いため、食べすぎには注意するようにしましょう。
クルミの選び方
クルミはかたい殻に覆われていてその中の仁と呼ばれる部分を食べます。大きくて艶の良いものが仁が多いとされています。また、殻の表面のデコボコが大きく、褐色をしたものの方が良く熟しています。
クルミの保存方法
殻付きのクルミの場合は硬い殻で空気を遮断するため、冷暗所に置いておけば長期保存が可能です。
しかし、一般的に売られているのは殻をむいてローストされているくるみです。加熱することにより、脂質の酸化が進行しているため、開封後は密封容器に入れ、冷暗所か冷蔵庫で保存し早めに食べきった方が良いでしょう。
ローストされているクルミは水分が10%以下のため冷凍しても食感ほとんど変わりません。しかし、臭い移りなどで風味がそこなわれるため、袋を二重にするなどして、冷凍庫へ入れましょう。