ビーツとビートの違いは?甜菜とテーブルビートを解説

甜菜

音がよく似ている「ビーツ」と「ビート」。日本の家庭では頻繁に食べる野菜ではないので、一緒の野菜?と思いがちですが、実は全然違う野菜。それぞれの違いを見ていきましょう。

「ビーツ」はアカザ科の野菜「テーブルビート」

ビーツはボルシチを作るのに欠かせないアカザ科トウヂシャ属の野菜。「テーブルビート」や「ガーデンビート」、「火焔菜(かえんざい)」などと呼ばれることもあります。特徴は、ベタシアニンによる鮮やかな赤色と泥臭さのある甘み。サラダや酢漬け、煮込み料理などに使用します。

おしゃれなレストランなどでよく使用されているイメージがありますが、実はショ糖が多く、野菜の中では高カロリーです。葉酸が多く含まれているので、妊娠中、妊活中の方にはありがたい食材と言えそうです。

テーブルビートはなぜ赤いの?

ビーツの鮮やかな赤色はベタシアニンというポリフェノールの一種によるものです。植物性色素ベタライン類の一種で、同じく黄色の色素ベタキサンチンとのバランスによっては、黄色いテーブルビートやオレンジのテーブルビートもありますよ。

テーブルに彩りを加えたいときには、ぜひ使ってみてくださいね。

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「ビート」はヒユ科の野菜「テンサイ(甜菜)」

甜菜

テンサイは砂糖の原料として生産されているヒユ科アカザ亜科フダンソウ属の植物。「ビート」や「砂糖大根」と呼ばれることもあります。砂糖の原料というとサトウキビのイメージが強くありますが、実は、サトウキビ由来の砂糖よりも甜菜由来の砂糖のほうが国内で多く、国産の砂糖のうち7割はてんさい糖が占めています。

甜菜の生産は北海道が中心。連作障害をおこさないよう3~4年の輪作で栽培されています。作つけ面積は栽培技術の向上によって、1990年には7万2千haまで増加しましたが、労働負担が大きく減少傾向にあり、2012年には5万9千haまで落ち込んでいます。

てんさい糖の作り方

収穫後、製糖工場に運ばれたテンサイは次の手順でてんさい糖に加工されます。

  1. 根の部分をカットする
  2. 温水につけて糖分を抽出する
  3. ろ過して煮詰める
  4. 遠心分離器で液体と結晶に分離する

液体部分がてんさい糖になり、結晶部分は上白糖やグラニュー糖として流通します。てんさい糖には、身体を温める効果や腸内環境を整えるオリゴ糖が含まれていること、血糖値の上昇が緩やかになるなど、上白糖に比べてメリットが多いのが特徴です。

ラディッシュや赤カブはテーブルビートと違う?

ラディッシュ

テーブルビートに形が似た野菜として、ラディッシュや赤カブも挙げられるでしょう。

ラディッシュとは、和名で「二十日大根」のこと。皮は赤いものの、カットすると中は白くなっています。生食に向く小さな大根で、明治時代以降にヨーロッパから導入されたものです。

また赤カブとは、赤い色をしたカブのことを広くそう呼びます。具体的には次のような品種があります。

  • 飛騨紅かぶ:岐阜県高山市の特産
  • 万木かぶ:滋賀県西万木地方の在来種
  • 長崎赤かぶ:長崎の伝統種
  • 伊予緋カブ:愛媛県の在来品種

赤カブはスープやシチューなどに入れると、赤い色素が他の食材にも移ってしまうことが多いので、生食のほうがおすすめです。テーブルビートと同じく、鮮やかな赤色を上手に生かして食卓を彩りたいですね。

「ビーツ」と「ビート」の違いをご紹介してきました。形がカブに似ていますが、どちらもカブの仲間ではなく、ヒユ科の植物。名前が似ているのに、特徴が全然違って面白いですね。

甜菜
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