らっきょうといえば甘酢漬けの印象が強いですが、独特の刺激臭が苦手という方もいらっしゃることでしょう。ここでは刺激臭の原因物質や健康効果、おいしい食べ方などをご紹介します。
らっきょうの特徴
らっきょうは、独特の香りと辛み、そしてパリッとした食感が持ち味です。旬は、6月から8月頃まで。6月が出荷の最盛期です。島らっきょうは沖縄県の特産品なので、旬の時期は1月から4月頃となります。原産地は中国のヒマラヤ地方です。
学名 | Allium chinense |
分類 | ユリ科ネギ属 |
原産地 | 中国 |
別名 | オオニラ、サトニラ |
おいしい時期 | 6月〜8月 |
らっきょうの品種
大粒種の「ラクダ」は代表的な品種で、各地で栽培されています。鳥取の名産物として有名である「砂丘らっきょう」も主にラクダ系であり、白くて形が美しく、肉質はしまり、食感が良いとされています。小粒種の「玉らっきょう」は台湾などからの輸入物が多く、甘酢漬けなど加工されたものが流通しています。
根や葉をつけたまま、若採りする「エシャレット」は柔らかく辛み成分が強くなる前に収穫しているので生食でも使用できます。
島らっきょう(だっちょう)
島らっきょうは沖縄県独自の品種です。一般的ならっきょうに比べ小型で、ネギに似た香味が強いのが特徴です。甘酢漬け、塩漬け、チャンプルーの具、天ぷらなどにして食べます。
栄養素としてはビタミンB1の吸収を助ける働きを持つアデノシンやアリシンが含まれており、免疫アップや疲労回復などの効果が期待されています。
また島らっきょうにはジスルフィドという解毒、殺菌、抗酸化作用をもつ成分が含まれています。ジスルフィドは生のまま20〜30分ほど空気にさらすことで発生するので、切ったまましばらくおいておくと良いでしょう。
さらにジスルフィドは、アリシンと同時に摂取することで効果が高まると言われており、玉ねぎやにんにくと組み合わせて調理すると効果的です。
島らっきょうは胃粘膜を刺激するため、食べ過ぎると体調不良や下痢になることがあるので注意が必要です。
らっきょうの栄養素と効能
らっきょうはニオイのもとである硫化アリルや、豊富な食物繊維など栄養素が豊富。特徴的な栄養素と食品成分表をご紹介します。
硫化アリル(アリシン)|疲労回復
らっきょう独特の刺激臭は、玉ねぎにも含まれている硫化アリルが原因です。硫化アリルはビタミンB1の吸収を助ける働きがあるので、豚肉などと一緒に摂るとスタミナ回復に役立ちます。
また硫化アリルは、血液をサラサラにする働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防に効果が期待されます。
ジアリルスルフィド|抗酸化作用・抗菌作用
硫化アリルの成分であるジアリルスルフィドには、酵素の働きを助け、活性酸素を除去する働き、抗酸化作用、抗菌作用があります。
水溶性食物繊維「フルクタン」が豊富
らっきょうには「フルクタン」という食物繊維が多く含まれており、これはゴボウの3〜4倍と豊富です。
野菜に含まれる食物繊維が不溶性食物繊維の場合が多いのですが、らっきょうの食物繊維は水溶性。水溶性食物繊維は、腸内で水分などを吸収し排泄する働きを持っています。
一方で、水溶性食物繊維は漬けると出てしまいます。漬け汁も一緒に食べたほうが効果がありますよ。
エネルギー | 118kcal |
水分 | 68.3g |
タンパク質 | 1.4g |
炭水化物 | 29.3g |
灰分 | 0.8g |
ナトリウム | 2mg |
カリウム | 230mg |
カルシウム | 14mg |
マグネシウム | 14mg |
リン | 35mg |
鉄 | 0.5mg |
亜鉛 | 0.5mg |
マンガン | 0.45mg |
ビタミンC | 23mg |
食物繊維総量 | 21.0g |
※可食部100gあたり
らっきょうの選び方
らっきょうは、根に近づくにつれて太く丸みが出ます。鱗茎が十分に生育し、ふっくらと白くツヤがあるものが、高い栄養価が期待できます。
鮮度を判定するには、切り口から芽の伸び具合を確認しましょう。らっきょうは、出荷直前に葉と根を切り落とします。切り口から芽が伸びすぎているものは、鮮度が低いので避けましょう。
また漬物に使用する場合は、大きさが不揃いだと扱いづらいので、よく揃ったものを選びましょう。
らっきょうの保存方法
芽が出やすいので、買ってからすぐに調理するのが望ましいです。やむ終えなく調理が翌日になる場合は、乾燥しないようにポリ袋に入れるか新聞紙にくるみ、冷蔵庫の野菜室などで保存しましょう。
漬けてから密封性の高い保存容器に入れると、1年保存ができます。雑菌が入るとカビなどの原因になるので、容器は必ず殺菌消毒し、清潔な状態にしてから使いましょう。
らっきょうの食べ方
らっきょうの甘酢漬け
- 土付きのものは土を綺麗に洗い落とす
- 根と茎を切りザルに入れて流水で擦り合わせるように洗い、薄皮をむく
- キッチンペーパーを使って、水気をしっかり切る
- 酢、砂糖、塩、みりんをよく混ぜ合わせる
- 瓶などにらっきょうと漬け汁、唐辛子を入れる
- 3日ほどおいて完成
甘酢漬けのほかに、醤油漬け、塩漬けなども保存食として有名ですね。カレーの付け合せはもちろん。日々のちょっとしたおつまみにも。
らっきょうを食べすぎるとどうなる?
らっきょうに含まれる硫化アリルは、少し刺激が強い物質です。また、先述の通り、水溶性の食物繊維も豊富。そのため本来、らっきょうは健康に良いのですが、大量に食べすぎると、以下のような症状がでることがあります。
- 胃もたれ
- 胸焼け
- 口臭
- 下痢
- 腹痛
何粒食べると症状が出るという目安があるわけではありませんので、数粒程度を基本に、体調なども考慮して食べすぎないようにすると良いでしょう。
また、具体的な症状が出るわけではありませんが、漬けたらっきょうは、塩分や糖分も含んでいるので、その意味でも食べ過ぎは謹んだほうがいいかと思いますが、あまり気にしすぎる必要はありません。
らっきょうについてご紹介してきました。独特な刺激は好き嫌いが別れますが、漬物にすれば長期保存も可能で、ストックしやすい食材です。くれぐれも食べすぎには注意しつつ、食卓に添えてみるといいですね。