さつまいもは、江戸時代に、琉球国をへて薩摩国から普及したといわれています。英語では、その甘さから、じゃがいもと区別するために、Sweet potatoと呼ばれます。さつまいもの栄養分や食べ方、保存方法を知って、美味しくいただきましょう。
さつまいもの特徴
熱帯アメリカ原産のさつまいもは、ヒルガオ科サツマイモ属の根菜です。甘藷、唐芋、琉球薯といった呼び方もあります。
国内のさつまいもの種類は、「紅あずま」と「金時(高系14号)」が主流です。「紅あずま」は、関東の主要品種で、皮が赤紫色で切り口は濃い黄色。ほっくりした食感と甘味が特徴です。また「金時」は、ホクホク感と強い甘味が特徴で、四国の「鳴門金時」「よさこい金時」、石川県の「五郎島金時」など全国各地でつくられています。
他にも、種子島の安納地区の在来種で、糖度が高くねっとりとした「安納いも」、全体に紫色をした「紫いも」など、さつま芋には多くの品種があり、地元品種のブランド化も進んでいます。露地のさつまいもは9~11月に収穫期を迎えます。
学名 | lpomoea |
分類 | ヒルガオ科サツマイモ属 |
原産地 | 中央アメリカ |
仏名 | patate |
独名 | Süße kartoffeln |
さつまいもの栄養素
ビタミン、ミネラルをたっぷり含む栄養バランスに優れたさつまいも。食物繊維も豊富で、カロリーは控えめなので、美容と健康にうれしい根菜です。
エネルギー | 132kcal |
水分 | 66.1g |
タンパク質 | 1.2g |
タンス | 31.5g |
ナトリウム | 4mg |
カリウム | 470mg |
カルシウム | 40mg |
鉄 | 0.7mg |
銅 | 0.18mg |
マンガン | 0.44mg |
ビタミンE | 1.6mg |
ビタミンB1 | 0.11mg |
ビタミンC | 29mg |
食物繊維総量 | 2.3g |
可食部100gあたり
さつまいもに期待される健康効果
食物繊維が豊富で便秘解消に
さつまいもに含まれている食物繊維には、便のかさを増やしたり、腸を刺激して蠕動運動を活発にし、便の排泄を促す効果があり、便秘解消に役立つといわれています。
ダイエットに有効な食物繊維
さつまいもの食物繊維は腸で水を吸って膨らむ水溶性なので、満腹感を感じやすくダイエットに向いています。
豊富なビタミンは抗酸化作用をもつ
さつまいものビタミンCには、熱で壊れにくい特徴があり、いも類の中でも最も多い量が含まれています。さつまいもには、ベータカロテン、ビタミンEも含まれており、ビタミンCとの相乗効果で、活性酸素の害から身体を守る働きが期待されます。
カリウムが高血圧を予防
さつまいもに含まれているカリウムには、体内のナトリウムが過剰になると、ナトリウムを排泄する作用があります。塩分濃度を調節するので、高血圧の予防に効果が期待されます。
ヤラピンの整腸作用
さつまいもの皮に含まれるヤラピンは、切り口からでる白い液に含まれる樹脂成分です。ビフィズス菌を増やして、腸内環境を整え、便を柔らかくする効果もあります。
アントシアニンのがん予防効果
紫色の品種のさつまいもには、ポリフェノールの一種のアントシアニンが多く含まれています。抗酸化作用があり、がんの予防に効果があるといわれています。
さつまいもの選び方
表面がでこぼこしておらずなめらかで、きれいな色をしているものを選びましょう。表面に深い溝や傷があるもの、ひげ根が生えているものは、避けるようにします。さつまいもの先端に茶色い松ヤニのようなものが付着していることがありますが、これはヤラピンの固まったものです。ヤラピンは収穫する際にできる傷をふさぎ、腐敗を防ぐ役割を果たしており、品質には問題ありません。
さつまいもの保存方法
乾燥しないように紙袋にいれるか、新聞紙に包み、日の当たらない涼しい場所に置いておきます。さつまいもは、掘りたてよりも2~3ヶ月貯蔵したほうが、水分が飛んで甘味が増すといわれています。さつまいもは、低温に弱く低温障害をおこすので、冷蔵庫にはいれないようにしましょう。既に切ったいもは切り口にラップをし、冷蔵庫で保存して早めに食べきります。
さつまいもの食べ方
焼き芋
焼き芋は、レンジで加熱すると手軽にできますが、オーブンや石焼き芋でゆっくり加熱するのがおすすめです。これは、さつまいもの酵素の活性温度60~70度なので、この温度で時間をかけて加熱すると麦芽糖に変わるためです。じっくり加熱すると、レンジで調理したときに比べて甘味が5倍に増えるだけでなく、麦芽糖は腸の活動も活発にしてくれます。
薄切りにして加える
さつまいもの皮には、食物繊維、ミネラル、ビタミン、アントシアニンが含まれています。薄切りにすると、皮も気になりません。たとえば、スパゲティカルボナーラに、薄切りにしたさつまいもを加えると、満腹感と健康効果の両方を向上させることができます。
さつまいもの茎を食べる
さつまいもの若い茎(葉柄)とツルの先端の柔らかい部分には、食物繊維、ビタミンE、ベータカロテンが含まれています。茎が太くて硬い場合は、フキのように皮をはいで、細くて柔らかい茎の場合はそのまま調理できます。佃煮、きんぴら、煮びたしにするとご飯と良く合います。東南アジアでも食材として使われており、タイ風の炒めものにしても美味しくいただけます。
さつまいもの栄養と保存方法、食べ方をご紹介してきました。甘さからカロリーが高いイメージがありますが、実はカロリー控えめです。いも類でトップのビタミンCをはじめとして、若さを保つ抗酸化作用の成分が多く含まれるさついまいも。食物繊維もたっぷり含まれているので、日々の食事に取り入れていきたいですね。