さくらんぼはビタミンCやリンゴ酸、クエン酸など栄養が豊富な果物。可愛い見た目から算数で習う計算方法にさくらんぼ算という名前がついたり、さくらんぼにちなんだ歌も発表されています。一方でおいしく育てたり、保存したりが難しい繊細な果物でもあります。そんなさくらんぼについてご紹介します。
さくらんぼの特徴
初夏を告げる果物として人気の、さくらんぼの旬は6〜7月。開花から50日程で収穫を迎え、他の果物では考えられない速さで収穫されます。しかし、一日の寒暖差が小さいと甘くならなかったり、雨に当たると割れてしまったりと、とてもデリケートなため、栽培は手間がかかりどうしても高値になります。
さくらんぼは、紀元前4000年頃、ヨーロッパ中央部の古代遺跡からタネが出土したとされています。日本に入ってきたのは明治時代、現在は東北地方、北海道、甲信越等が主な産地です。
学名 | Prunus avium |
分類 | バラ科サクラ属 |
原産地 | 西南アジア地方 |
仏名 | cerise |
独名 | Kirsche |
さくらんぼの品種
品種は多く、大きく分けると3種類、甘い「甘果桜桃」、酸味が強い「酸果桜桃」、中国原産の「中国桜桃があり」、日本での生産はほぼ甘果桜桃です。弾力のある果肉で甘味と酸味のバランスが良い佐藤錦が国内生産の4分の3を占めると言われています。
- 佐藤錦:糖分、果汁が多く生食向け。赤いルビーとも呼ばれる
- 高砂:酸味と甘味のバランスが良く、食べやすい
- サワーチェリー:甘みがなく酸味が強い。色鮮やかな加工用の品種
- 大将錦:大粒でずんぐりした形が特徴。甘みが強く、酸味はほとんどない
- 紅さやか:佐藤錦とセネカの交配種。程よい甘みと酸味がある
- アメリカンチェリー:アメリカ原産。大粒で濃紅色の皮が特徴
さくらんぼの栄養素
さくらんぼにはビタミンC、リンゴ酸、クエン酸、ブドウ糖、果糖が含まれているため、疲労回復や美肌効果、高血圧予防効果が期待できます。また、果肉の赤色はアントシアニンというポリフェノールの一種で、活性酸素の生成を抑える働きがあり、毛細血管の強化や疲れ目からの回復などにも役立ちます。
エネルギー | 60kcal |
水分 | 83.1g |
タンパク質 | 1.0g |
炭水化物 | 15.2g |
カリウム | 210mg |
カルシウム | 13mg |
鉄 | 0.3mg |
ビタミンB1 | 0.003mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ナイアシン | 0.2mg |
ビタミンB6 | 0.02mg |
葉酸 | 38μg |
パントテン酸 | 0.24mg |
ビタミンC | 10mg |
食物繊維総量 | 1.2g |
※可食部100gあたり
さくらんぼの選び方
軸が青々として茶色く枯れておらず、しっかりしているものが新鮮な証拠です。さくらんぼは日持ちがせず、追熟しないので皮の色が赤く鮮やかで、ツヤとハリのあるものを選ぶとよいでしょう。
傷や黒ずみがないか、色の鮮やかさのチェックも忘れずに。
さくらんぼの保存方法
さくらんぼはデリケートで風味が落ちやすく、保存に向かない果物です。冷蔵に弱いので、風通しのよい涼しいところに置いて食べる1〜2時間前だけ冷やすのが良いでしょう。
暑い時期には、水気をしっかり拭き取り、乾燥しないようにラップに包むか、密閉出来る容器に入れて冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。食べきる目安は2〜3日くらいです。
水分に弱く、実が裂けてしまったり、傷みが速くなるので冷凍保存は適していません。
さくらんぼの食べ方
日持ちがしない為、食べたい時に購入し、冷蔵庫で軽く冷やしてすぐ食べるのが旬のさくらんぼを美味しく食べられるおすすめの方法です。
どうしても食べきれなかった分はジャムにすると、瓶に詰めてから開封後2週間程持つのでとても美味しくいただけます。色の濃いアメリカンチェリーは赤ワインを足してコンポートにすると肉料理のソースとしても活躍します。その他にも、タルトやケーキ、ゼリー等幅広く楽しまれています。
さくらんぼジュース
さくらんぼジュースは、アメリカの研究チームが行った実験で、さくらんぼジュースを飲むとより長く眠れるようになったという結果が出たため、不眠対策に注目されています。ただし、この実験は小規模で行われているため、確証が取れているわけではないようです。
とはいえ、さくらんぼは先述の通り、疲労回復や血管の強化などに役立つ栄養成分が豊富。さらに甘酸っぱくておいしいので、旬外れの時期にはさくらんぼジュースを楽しんでもいいですね。
さくらんぼ酒
さくらんぼを保存食として残しておくなら、贅沢にさくらんぼ酒もおすすめ。広口瓶にさくらんぼ、ホワイトリカー、氷砂糖を入れ、2〜6ヶ月ほど寝かせて完成。実を引き上げてから瓶で保管すると良いでしょう。
漬け込んでいたさくらんぼは、ジャムにしてもおいしくいただけますし、すぐに飲むのならお酒のグラスに飾ってもいいですね。
自宅で作るのが面倒な場合は、買ってしまうという手も。
さくらんぼの栄養や品種、さくらんぼジュース、さくらんぼ酒とご紹介してきました。かわいらしいだけでなく、栄養も豊富なさくらんぼは、食べられる期間が短いだけに、なおさら貴重に感じる果物です。少し効果ではありますが、旬の時期にはぜひ召し上がってくださいね。