舞茸は、他のきのことと同様に秋の味覚の1つです。独特の食感と旨味が特徴の舞茸は、鍋や炊き込みご飯、天ぷらなど様々な料理で活躍します。また、きのこ類は低カロリーでヘルシーなのに、栄養が豊富に含まれているのも魅力です。今回はそんな舞茸をご紹介します。
舞茸の特徴
舞茸は、アジアやヨーロッパなどの温暖な地域に自生するきのこの一種です。珊瑚のようにいくつものカサが折り重なる形で、中には20kg程の大きさまで育つものもあります。その名前の由来は諸説ありますが、1つはとても珍しいきのこのため、見つけた人が舞い上がって喜ぶから、もう1つはその形が蝶の舞う姿に似ているから、だと言われています。
現在市場に出回っているもののほとんどは人工栽培で、天然の舞茸は「幻のきのこ」と言われるほど希少で高価なものです。年中市場に出回りますが、天然物の旬は9~10月と比較的短い期間となっています。
学名 | Grifola frondosa |
分類 | サルノコシカケ科マイタケ属 |
別名 | クロブサ、クロフ |
おいしい時期 | 10月〜11月 |
舞茸の種類
天然舞茸
ブナ科の樹木の根元などに発生します。毎年同じ場所に生えることが多いのですが、見つけた人は家族にすらその場所を明かさない、と言われる程貴重なきのこです。天然の物は歯応えが強く、濃厚な香りと豊かな味わいが特徴です。
原木栽培
培地となる原木を10~30cmに裁断し、舞茸の種菌を接種した後、培養室で3~4か月菌を蔓延させます。その後、水はけの良い林間や畑地の土中に埋め込み、9月~10月の発生を待ちます。天然の舞茸に近い風味を持っています。
菌床栽培
広葉樹のオガクズに栄養源を加えた培地を作り、舞茸の種菌を接種した後、温度、湿度、CO2濃度などを厳密にコントロールできる施設内で培養します。約60日~70日という短い期間で収穫できるため、安定した生産が可能で、流通するほとんどの舞茸がこの菌床栽培によるものです。
舞茸の栄養素
舞茸は他のきのこに比べて加熱しても栄養素が壊れにくいと言われていますが、水溶性の栄養素は流れ出てしまう為、煮汁も一緒に食べられる料理がオススメです。
舞茸に含まれる主な栄養素
- ビオチン
- βグルカン(MDフラクション)
- MXフラクション
- エルゴステロール
- キノコキトサン
- 酵素エンドペプチダーゼ
食品成分表
エネルギー | 16kcal |
水分 | 92.3g |
タンパク質 | 3.7g |
炭水化物 | 2.7g |
灰分 | 0.6g |
カリウム | 330mg |
リン | 130mg |
鉄 | 0.5mg |
亜鉛 | 0.8mg |
銅 | 0.27mg |
ビタミンB1 | 0.25mg |
ビタミンB2 | 0.49mg |
ナイアシン | 9.1mg |
葉酸 | 60μg |
食物繊維総量 | 2.7g |
※可食部100gあたり
舞茸に期待される健康効果
免疫機能向上
βグルカンという不溶性食物繊維は、きのこに多く含まれる成分ですが、その中でも舞茸の含有量はトップクラスです。体内にウイルスが入ると、NK細胞がウイルスを攻撃することで身体を守っています。βグルカンには、このNK細胞を活性化するはたらきがあります。また、βグルカンは他の食物繊維と同じように整腸作用も期待できます。
骨を丈夫にする
エルゴステロールは収穫後に日に当たることでビタミンDに変化します。ビタミンDにはカルシウムの代謝をサポートする役割があり、体内で骨や歯を作る手助けをします。
生活習慣病予防
MXフラクションは、きのこの中で舞茸にだけ含まれている成分です。MXフラクションには、血液中の脂肪やコレステロールの分解を促進するはたらきがあります。
さらに、体内に蓄積された頑固な脂肪も分解し、基礎代謝を上げると同時に脂肪がつきにくい身体へと導いてくれます。また、きのこ特有の成分であるキノコキトサンには、中性脂肪を減らす効果や脂肪の吸収を抑制するはたらきがあり、生活習慣病の予防に役立ちます。
舞茸の選び方
カサの部分が肉厚で色が濃く密集しており、触るとパキッと折れそうなくらいハリのあるものが新鮮です。古い物は、表面に水分がにじみ出てくるので避けましょう。また、軸はきれいな白色で、弾力のあるものがオススメです。パックで買うときには、小房に分かれたものではなく、一株にまとまっているものを選ぶようにしましょう。
舞茸の保存方法
水気がついていると傷みやすいため、しっかりと水気を拭いてから保存するのが長持ちさせるポイントです。パッケージのまま保存すると湿気がこもってしまうため、買ってきたらパッケージを外しラップに包んで冷蔵庫で保存します。冷蔵の場合は、3~4日で使い切るようにしましょう。
冷凍する場合は、石づきを切り落とし小房に分けた後、ジッパー付きの保存袋に入れて保存します。冷凍の場合は、約1ヶ月保存可能です。使う時は、自然解凍もしくは炒め物や汁物にそのまま入れて調理することもできます。
舞茸の食べ方
人工栽培された舞茸は、洗わずに調理するのをオススメします。水洗いすると、風味が落ち、劣化も早まります。気になる汚れがある場合は、湿らせたキッチンペーパーや布巾で軽く拭き取るようにしましょう。
また、調理の際は、香りや歯ごたえを損なわないよう加熱は短時間にしましょう。舞茸の旨味成分は水溶性なので、汁物や炊込みご飯など煮汁ごと食べられる料理だと存分に味わうことができます。
タンパク質分解酵素(プロテキナーゼ)がお肉を柔らかく!
舞茸にはタンパク質分解酵素「プロテキナーゼ」が含まれているため、お肉の漬け込みの際に一緒に入れると、柔らかく仕上がります。ぱさつきやすい鶏むね肉や、ほろほろに仕上げたい豚の角煮などを作る際にはぜひ舞茸を活用してくださいね。なお、プロテキナーゼは熱に弱いので、火を入れる前に袋などで漬け込むのがポイントです!
まとめ
舞茸には、きのこや舞茸だけに含まれる素晴らしい栄養成分があり、健康維持に役立ちます。比較的手頃な値段で、一年中手に入れることができるのも嬉しいポイントです。スーパー等で見かけた際は、是非手に取ってみて下さい。