いちじくは柔らかくて甘い果実。夏ごろから店先に並びはじめます。そのまま食べてもおいしいですし、ジャムやコンポートにするなど幅広い使い方ができます。そんないちじくには、カリウムやアントシアニンをはじめとするたくさんの栄養素が含まれており、女性にうれしい果物ともいえます。いちじくの特徴を知って、よりおいしくいただきましょう。
いちじくの特徴
アラビア半島あたりが原産のいちじくは、聖書にもたびたび登場する古くからの栽培果樹で、不老長寿の果物とされています。アダムとイブが身につけていたものも、実はいちじくの葉です。
春から初秋にかけて、実の中に白い花をつけ、そのまま肥大するのですが、外側からは花が見えないため中国の漢語で「無花果」となりました。旬は8月から11月です。
学名 | Ficus carica |
分類 | クワ科イチジク属 |
原産地 | アラビア半島 |
仏名 | figue |
別名 | 蓬莱柿(ほうらいし)、唐柿(とうがき) |
いちじくの品種
いちじくには夏果と秋果があり、越冬した幼果が大きくなったものが夏果です。一方、春の新梢(新しい枝)に着床した実が秋果といいます。
いちじくには品種がいくつかありますが、日本で販売されているいちじくでは、その8割が「枡井(ますい)ドーフィン」です。
その他に福岡県でうまれた「とよみつひめ」や、フランス原産の「ビオレソリエス」、トルコで生産されドライフルーツとして利用されている「スミルナ」などがあります。
また、乾燥いちじくとして親しまれているのは、「カリミルナ」と呼ばれる、カルフォルニアで生産されるスミルナ種の白いちじくです。
枡井ドーフィン
ほどよい甘味とさっぱりとした風味が特徴のいちじく。1909年(明治42年)に桝井氏がアメリカから日本に持ち帰った品種です。栽培がしやすく、日持ちすることから全国で親しまれています。
ビオレソリエス
果肉が柔らかく糖度が20度以上にもなる、フランス原産のいちじくです。果皮の色は深い紫色をしていて、果実のサイズはやや小さめです。
甘みが強くねっとりした食感で、イチジクの果頂部分が裂けにくいのも特徴。佐賀県や一部の地域でハウス栽培されていますが、流通量は多くなく限られています。
いちじくの栄養素
いちじくは不老長寿の果物といわれるほどに優れた栄養素を持っており、健康な食生活をサポートしてくれる嬉しい果物です。
エネルギー | 54kcal |
水分 | 84.6g |
タンパク質 | 0.6g |
炭水化物 | 14.3g |
灰分 | 0.4g |
カリウム | 170mg |
カルシウム | 26mg |
鉄 | 0.3mg |
亜鉛 | 0.2mg |
銅 | 0.06mg |
ビタミンB1 | 0.03mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ビタミンB6 | 0.07mg |
食物繊維総量 | 1.9g |
いちじくに期待される健康効果
高血圧予防
いちじくにはカリウムが多く含まれています。カリウムは、体の中にある余分な塩分を外に排出する働きがあり、高血圧の予防に役立ちます。
視力の改善
いちじくの赤色は、アントシアニンというポリフェノールの一種。アントシアニンは血液循環を向上させ、眼精疲労や視力改善に働きかけます。
消化酵素
いちじくにはフィシンという成分が含まれています。フィシンは、タンパク質分解酵素を含むので消化をよくしてくれます。そのため、いちじくは食後のデザートにぴったり。胃腸の働きが活発になり消化が促されます。
整腸作用
いちじくには食物繊維であるペクチンが豊富。ペクチンは整腸作用や美肌効果があるため、いちじくは女性にうれしい果物といわれています。
いちじくに含まれるペクチンが、腸内の善玉菌である乳酸菌を増殖させ、腸の調子を整えてくれます。便秘が解消されることで腸内がきれいになり、肌荒れなどのトラブルを抑えてくれるのです。
がんの抑制
アントシアニンは、目や体の老化と深く関わりのある活性酸素を取り除く抗酸化作用があります。現代はストレス社会といわれていますが、そのストレスや紫外線などにより体の中に活性酸素が発生します。活性酸素が増えすぎてしまうと、ガンや血液系の病気を引き起こします可能性があるのです。
抗酸化作用を持つ栄養素としてビタミンCがありますが、アントシアニンはビタミンCよりも安定し抗酸化作用があると言われており、活性酸素を防ぐことは、老化予防やガン予防になります。
いちじくの選び方
いちじくを選ぶときには、全体的にふっくらとして形の良いものを選びましょう。また、皮に傷がなく、付け根の部分までしっかり色づいているものを選んでください。いちじくのお尻の部分の皮が裂けているものは避けたほうがよいでしょう。
いちじくの保存方法
いちじくは柔らかく傷みやすいので、乾燥しないようにビニール袋に入れて、冷蔵庫保管で1日以内に食べきりましょう。すぐに食べられない時には、ジャムやコンポートに加工して保存することをおすすめします。
いちじくの食べ方
煮詰める:いちじくのコンポート
材料
- いちじく…2個
- 砂糖…大さじ4
- ワイン(赤白どちらでも)…カップ2
- ミントの葉…少々
作り方
- 煮立てたワインと砂糖の中に皮をむいて切ったいちじくを入れ、7分から8分煮る
- 火を止め味を染み込ませる
- 冷めたら皿に盛ってミントの葉をのせる
いちじくジャム
材料
- いちじく…2パック
- 砂糖…200グラム
- レモン汁…大さじ1
- ブランデー…少々
作り方
- いちじくは皮をむき、ざく切りにし、砂糖と一緒に鍋に入れて中火にかける
- 沸騰したら弱火にし焦げ付かないよう注意しながら、なめらかになるまで煮る
- レモン汁、ブランデーを加え火を止める
丸くてふっくらした甘いいちじくには、健康につながるたくさんの栄養素が含まれています。いちじくが不老長寿の果物といわれるのもうなずけますね。いちじくが旬の時期には、ぜひ積極的に食べて体の中からきれいを目指しましょう。