とうもろこしは世界三大穀物のひとつ。日本には16世紀後半にポルトガル人によってもたらされ、明治時代に本格的に栽培が始まりました。缶詰に加工されたり、冷凍食品としても流通していますが、とうもろこしの旬の味は格別です。とうもろこしの栄養分や食べ方、保存方法を知って、美味しくいただきましょう。
とうもろこしの特徴
イネ科トウモロコシ属のとうもろこしは、原産地はアメリカ大陸といわれています。とうもろこしの漢字表記は玉蜀黍で、トウキビ、ナンバ、トウミギと称されることもあります。一般的に食用として用いられるのは、胚乳に糖分の多いスィートコーンとよばれる甘み種です。スィートコーンには、全ての粒が黄色のゴールデンコーン、白粒種のシルバーコーン、黄色と白の粒が混在しているバイカラーコーンの3種類があります。
「ハニーバンタム」はバイカラーコーンの一種で、国内で生産される生食用とうもろこしの主流でした。さらに甘味の強い種類として、「ピーターコーン」に代表されるスーパースイート種や、「味来390」で知られるウルトラスーパースイート種があります。なお、ベビーコーンは品種ではなく、とうもろこしが小さいうちに若採りしたものです。とうもろこしが多く出回る時期は5~9月です。
学名 | Zea mays |
分類 | イネ科トウモロコシ属 |
原産地 | メキシコから南アメリカ北部 |
仏名 | mais |
とうもろこしの栄養素
主食としても食べられるとうもろこしは野菜のなかでは高エネルギー。ビタミンB1、カリウムのほか、食物繊維も豊富です。アミノ酸の一種であるアスパラギン酸、グルタミン酸、アラニンといった有効成分も含まれています。
エネルギー | 92kcal |
水分 | 77.1g |
タンパク質 | 3.6g |
炭水化物 | 16.8g |
カリウム | 290mg |
カルシウム | 3mg |
マグネシウム | 3.7mg |
リン | 100mg |
鉄 | 0.8mg |
亜鉛 | 1.0mg |
ビタミンB1 | 0.15mg |
ビタミンB2 | 0.10mg |
ビタミンC | 8mg |
食物繊維総量 | 3.0g |
※可食部100gあたり
とうもろこしに期待される健康効果
アスパラギン酸の疲労回復効果
とうもろこしに含まれているアスパラギン酸は、アミノ酸の一種です。疲労物質である乳酸の分解や、新陳代謝、タンパク質の合成を促し、疲労回復や体力向上につながります。
グルタミン酸の健脳効果
とうもろこしに含まれているグルタミン酸は、脳の機能を活性化することが明らかとなっています。グルタミン酸の不足は、疲労を蓄積したり、抑うつ傾向になりやすいといわれています。
アラニンの免疫機能向上効果
とうもろこしに含まれているアラニンは、肝臓機能の改善効果や、免疫機能向上の効果が期待されています。
カリウムで高血圧の予防
とうもろこしに豊富に含まれるカリウムは、体内の余分なナトリウムを排出するので、高血圧の予防につながります。
ねぎ類と合わせて糖質の代謝促進
とうもろこしに含まれているビタミンB1は、炭水化物の代謝に不可欠なビタミンです。ねぎ類やにんにくに含まれている硫化アリルと一緒に摂取すると、ビタミンB1の吸収効率が高まります。
食物繊維による整腸作用
とうもろこしの粒の皮の部分には、不溶性の食物繊維が含まれており、便秘を解消し、大腸がんの予防にもつながります。
とうもろこしの選び方
新鮮なとうもろこしは、外皮が鮮やかで緑色をしています。外皮が変色しているものは、鮮度が落ちているので選ばないようにしましょう。ひげの数は実の数とほぼ同じなので、ひげの数が多いものは実もたくさん詰まっています。ひげの茶色が濃いものは、よく熟して甘味も強いとうもろこしです。
とうもろこしの保存方法
とうもろこしは、収穫した後1日おくと、味と栄養が半減するといわれています。時間とともに風味と甘味が落ちるので、買った後はなるべく早く調理しましょう。保存する場合は、ゆでてラップに包み、冷蔵庫で保存します。
とうもろこしの食べ方
実を外す
生のとうもろこしを炒めものにしたり、あげたりするときには、実を芯から外します。適当な大きさに切ったとうもろこしを、まな板に立てて、包丁を芯と実の境目の部分にあてて、垂直に包丁をおろすと、効率的に実を取り外すことができます。
実の付け根の胚芽部分に、栄養分が豊富に含まれています。胚芽部分を積極的に摂取したい場合は、適当な大きさに切ったとうもろこしを、縦に2列分ぐらいの実を付け根から外して、親指の腹でそぐようにして外していくと、きれいに外すことができます。
バーベキューで焼く
炭火焼きなどにする場合は、皮つきのまま、海水と同じぐらいの濃度(3%)の塩水に一時間漬けておきます。皮つきのままバーベキューで焼くと、適度な塩味で美味しくいただけます。
スープにする
とうもろこしの缶詰には、クリームタイプとホールタイプがあります。クリームタイプは、コーンスープを作るのに便利です。牛乳と玉ねぎを組み合わせたコーンスープは、ビタミンB1の吸収効率も高く、栄養バランスにも優れた一品です。
- 玉ねぎを細かく刻み炒める
- クリームタイプのとうもろこしの缶詰と牛乳を加え煮立てる
- ブイヨン、塩、こしょうで味を整える
とうもろこしの栄養と保存方法、食べ方をご紹介してきました。生のとうもろこしが出回る時期は限られていますが、缶詰や冷凍食品として、周年スーパーなどで購入できる身近な食材です。食物繊維も豊富で、疲労回復効果のある有効成分も含まれているとうもろこし。サラダ、スープ、炒めものなど、毎日の食事に取り入れていきたいですね。