エジプトのピラミッド建設の時に、配給されていたという玉ねぎ。日本には、明治時代以降にもたらされ、現在では家庭の常備野菜の一つとなりました。最近では、玉ねぎに含まれている有効成分が、予防医学の観点から注目されています。玉ねぎの栄養分や食べ方、保存方法を知って、美味しくいただきましょう。
玉ねぎの特徴
玉ねぎの原産地は中央アジアだといわれています。玉ねぎはヒガンバナ科ネギ属の茎菜で、黄玉ねぎ、白玉ねぎ、紫玉ねぎがあります。一般的に栽培されている玉ねぎの多くは、黄玉ねぎです。小玉ねぎのペコロスは、黄玉ねぎを密植して小さく育てたものです。
新玉ねぎは品種ではなく、栽培期間の違いです。若取りしたのが新玉ねぎで、新玉ねぎ収穫の時期には収穫せず、さらに成長させたのが秋冬に収穫される玉ねぎです。新玉ねぎがよく出回る時期は3~5月です。玉ねぎは、現在、全国で栽培されており、保存性も高い野菜なので、通年良い状態で流通しています。
学名 | Allium cepa |
分類 | ユリ科ネギ属 |
原産地 | 中央アジア |
仏名 | oignon |
独名 | Zwiebel |
玉ねぎの栄養素
玉ねぎを切る際に、でてくる涙の誘因物質とされる硫化アリル。硫化アリルには血液をサラサラにする効果があります。他にも、玉ねぎには、ナトリウムの排泄を促すカリウム、高い抗酸化力をもつケルセチンなどが含まれており、パワーフードとして注目されています。
エネルギー | 37kcal |
水分 | 89.7g |
タンパク質 | 1.0g |
炭水化物 | 8.8g |
ナトリウム | 2mg |
カリウム | 150mg |
カルシウム | 21mg |
リン | 33mg |
鉄 | 0.2mg |
亜鉛 | 0.2mg |
マンガン | 0.15mg |
ビタミンB1 | 0.03mg |
ビタミンB6 | 0.16mg |
ビタミンC | 8mg |
食物繊維総量 | 1.6g |
可食部100gあたり
玉ねぎに期待される健康効果
硫化アリルが血液サラサラ・風邪予防に
玉ねぎに含まれている硫化アリルは、においや辛味の原因です。硫化アリルは、細胞が壊されるとアリシンに変化します。アリシンには、血液をサラサラにして、血栓をできにくくする働きがあります。動脈硬化や脳梗塞の予防に効果があるといわれています。
豚肉と合わせて疲労回復に
硫化アリルは、ビタミンB1の吸収を高めて新陳代謝を活発にするといわれています。ビタミンB1を含む豚肉と合わせて食べると、疲労回復効果が期待されます。
ジスルフィド類が血糖値を下げる
玉ねぎに含まれるジスルフィド類には、血糖値を下げる効果があり、糖尿病の予防効果が期待されます。
カリウムで高血圧の予防
玉ねぎに豊富に含まれるカリウムは、体内の余分な塩分を排出するため、高血圧の予防につながります。
ケルセチンで老化防止
玉ねぎに含まれているポリフェノールの一種であるケルセチンには、優れた抗酸化作用があるため、老化防止に有効であるといわれています。
アントシアニンによる視力回復効果
紫色の玉ねぎに含まれるアントシアニンには、視神経の働きを活性化する役割があり、視力回復効果が期待されます。
玉ねぎの選び方
玉ねぎは表面が柔らかく浮いていない、皮が固くしまりがあるものを選びます。芽が出ているもの、ひげ根が長く伸びていないものを選びます。新玉ねぎは、頭の切り口が詰まっており、下根や外皮が乾いているものかどうかを確認します。
玉ねぎの保存方法
玉ねぎは、湿気、蒸れに弱いので、風通しの良い場所で保存します。ネットなどにいれ、湿気のない場所につるして保存すると良いでしょう。既に切ったものは、ラップに包んで冷蔵庫で保存します。新玉ねぎは、乾燥させずに出荷されるため、水分を多く含み傷みやすいです。新聞紙で包むか、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保存し、1週間ほどで食べるようにします。
玉ねぎの食べ方
生で食べる
刺激臭の少ない紫玉ねぎ、甘味が強く水分が多い白玉ねぎ、みずみずしく辛味が少ない新玉ねぎが生食に向きます。サラダ、和え物、酢の物などにすると美味しくいただけます。切ったあとに10分間放置すると、硫化アリルがアリシンに変化し活性化します。水にさらすと、有効成分やビタミン類が流れてしまうので要注意です。
煮込む
煮込み料理には、秋冬に収穫される濃厚な黄玉ねぎ、ペコロスがおススメです。新玉ねぎは、煮込んでも水っぽくなってしまうので、避けたほうが無難です。スープや煮物に玉ねぎを使う場合、切った後にしばらく放置し、油で軽く炒めるとアリシンの流出を抑えることができます。
玉ねぎをじっくり炒めると、硫化アリルが長時間の加熱により糖分に変化し、砂糖の50倍の甘さでローカロリーです。ビタミン類などは失われてしまいますが、甘味とコクがでて美味しいダイエット向きの一品となります。
玉ねぎの栄養と保存方法、食べ方をご紹介してきました。季節を問わずに、いつでも手に入り、保存しやすい野菜といえば玉ねぎです。肉じゃが、カレーなどに欠かせないおなじみの野菜ですが、優れた有効成分を含むパワーフード、玉ねぎ。玉ねぎの有効成分をうまく取り入れる調理法を、日々の食生活に取り入れてみてくださいね。